有名ブランド大事典

 
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モーザー(H.Moser)

シャッフハウゼンに復活した名門時計ブランド

設立年度:2006年

創業者:ユルゲン・ランゲ



モーザー(H.Moser)については、創業年と創業者をどこにするかで悩みましたが、やはり休眠状態にあった会社を復活させたユルゲン・ランゲ博士に置くのが適当でしょう。

その起源は、ヨハン・ハインリッヒ・モーザーに求められます。彼はドイツ国境にほど近いシャッフハウゼンに生まれ、ロシアのサンクトペテルブルグに時計工房を開き、大きな成功を収めた人物です。
その後はシャッフハウゼンにライン川の流れを利用した水力発電所建設に携わり、1868年にはこの安価で安定した電力を求めて、米国人フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズが現在のIWCを開いています。

モーザーというブランドは、ロシア革命や世界恐慌、二度の大戦などをくぐり抜け、1970年頃まで存続しますが、クォーツショックで消滅。
以来、歴史書にのみ名前を残すブランドでしたが、IWCの技術ディレクターのユルゲン・ランゲ博士が、モーザーの祖々孫のロジャー・ニコラス・バルジガー氏を名誉会長に迎えて、ブランドの復活に成功します。

ユルゲン博士は、IWCでヒゲゼンマイの研究をしてきたという人物で、長い経験の中で様々なノウハウ、人脈などを持っていて、それがモーザーが何と創業したてでヒゲゼンマイの自製に成功しているという驚きの実力を持つに至る理由になっています。
通常、マニュファクチュール(自社一貫生産)を謳うブランドでもヒゲゼンマイは購入するのが一般的で、これを自製出来るブランドは世界でもセイコーなどほんの数社。ロレックスが最近、自製に成功したのが大きなニュースになったほど。

また、ムーブメントの設計には、独立時計師のアンドレアス・ストレイラー氏を迎え、交換可能な脱進機、ヘンリー・ダブルヘアスプリングの自己補正型ヒゲゼンマイの構造、デイト付モデルのダブルプルクラウンシステムなど、極めて独創的なムーブを実現しています。

モーザーのコレクションには、デビュー作とも言える「シンプル」な造形の複雑時計・パーペチュアル1、センターセコンドのモナードとモナードデイト、典雅なスモールセコンドのマユ、角が取れたスクエアタイプのヘンリーと、数は少ないのですがいずれも実に独創的で尚かつ、上品で優美なモデルを揃えています。
ロジェ・デュブイの様な、悪趣味すれすれまでデザイン上の冒険を試みた刺激的なデザインのブランドが10年あまりも機械式腕時計のトレンドを引っ張った後では、モーザーの穏やかな造形は「大人しすぎる」との評を得ることもありますが、よく練りこまれたデザインは大人しい中にも個性が光り、長い間使っても飽きの来ないものです。

再興して間もないブランドですが、すでに大家の雰囲気が漂う大物です。

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