レイモンド・ウェイル

レイモンド・ウェイルについて

設立年
1976年

創設者
レイモンド・ウェイル

地域・国
スイス・ジュネーブ

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概要

レイモンド・ウェイル（RAYMOND WEIL）は、1976年に独立系時計職人のレイモンド・ウェイルが創設した時計メゾンです。本社はジュネーブ。

この1976年という時期は、69年にセイコーが世界初のクォーツ時計アストロンを発表して、その余波であるいわゆるクォーツショックがそろそろ本格的にスイスの時計業界を襲っていた時期です。機械式時計はクォーツにシェアを奪われて壊滅的な状況に陥りつつあり、こうした「先が見えない」状況であえて新しいブランドを立ち上げるのはかなりの冒険で、逆境の中のスタートと言っても良い状況でした。

そうした中、レイモンド・ウェイルは、高い技術、品質、優雅さを兼ね備えた時計を作るという方針で、クォーツショックにより同じく大打撃を受けていた優れたサプライヤーと手を組み、伝統的な機械式時計を作り始めます。
利益を優先せず、価格的には本格的なスイス時計の伝統を感じさせる作り込みを実現しながら、相当にコストパフォーマンスが高く、それは今となってもまだレイモンド・ウェイルの美点として続いています。

スイスの時計産業は、早くから分業制が確立していて、数多くの部品メーカー（サプライヤー）たちの部品を最終的に組み立て工房で組み上げて、自社ブランドを冠して販売する、という形を取ることが多く、それ故に近年はマニュファクチュール、すなわちムーブメントの設計、製造から完成品の販売までを自社のみで一貫して行うメゾンの製品が持て囃される傾向があります。
もちろん、マニュファクチュールの製品にはそれだけで一定の魅力があるのですが、こうした製造方法はどうしても時計一個あたりの価格が高価になりがち。
そこで、レイモンド・ウェイルは、その方向性は目指さず、しかしスイス国内の信頼できるサプライヤーとの協力関係を重視して、スイスの時計産業全体で新しい時計を作る、という姿勢で活動しています。
これは、やはり今となっては数少ない家族経営を守っているからできる点でもありますね。

レイモンド・ウェイルのコレクションは、常に音楽の影響を受けていて、まずは有名な所では1983年からモーツァルトにちなんで「アマデウス」というコレクションを展開。ミロス・フォアマンによる同名の映画に合わせて発表されたもので、その後音楽にインスパイアされた「フィデリオ」「トラヴィアータ（椿姫）」、「サクソ」などが発表されています。
現在でも、トッカータ、タンゴといったモデルもラインナップされています。

そして、ミュージックコラボレーションと銘打って、クラシックにとどまらず、優れたミュージシャンにインスピレーションを受け、コラボした限定版を数多くリリースするようになっています。
その中にはビートルズ・リミテッドエディションをはじめ、ボブ・マーリィ、AC/DC、デヴィッド・ボウイ、ギブソンのレスポールにインスピレーションを得たフリーメーカー、バディ・ホリーなどが用意されています。

ムーブメントは基本汎用品であるので、価格はスイス製の機械式時計としては値ごろラインに収まっていて、その価格ラインを考えるとケースやダイアルの仕上がりは相当に高レベルにあります。スイスの伝統的な時計のディテールをキチンと踏襲して古典的な仕上がりで、あまりシャープで現代的、またスポーティという感じはしませんが、上品で端正です。

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